有識者によるiDeCoのコラム

女性とiDeCo

先日、仲の良い友人の娘さんの結婚式と披露宴に招かれました。赤ちゃんのときから家族のようにお付き合いさせていただいたご家族の、あの可愛らしかった子がこんなに立派になり、そして花嫁、心から喜び、感動いたしました。これからの幸せを祈っておりました。二人は同じ会社で知り合い、お仲人さんは新郎の会社の上司、披露宴では会社の関係者、お二人の学校時代の友人、そして親族でした。披露宴の最中に、一瞬、フラッシュバックのような想いにとらわれました。友人の娘さんの今後と、自分自身のこれまで時の流れが、一瞬オーバーラップしたのです。実は、私自身も同じような結婚式を挙げています。

20歳代前半で結婚、退社、配偶者とともに転勤、新たな地で新たなスタートです。そして、子供を授かり、育児に専念。育児がひと段落つくと、社会のためになる仕事をしたく、社会保険、年金の専門家になろうと、そして、現在にいたります。幼い子との生活は、新たな力を与えてくれました。この子が安全に安心できる生活を送るには、どうすればよいのか。子供は自分自身の力で生きていくのは当然なのですが、親として何ができるのかと考えたとき、やはり安定した生活の基盤となる、経済的な基盤です。一言でいうと、お金です。

お金に困らない上手なお金との付き合い方は、シンプルなものです。それは、女性も男性も関係なく、独身のときも、家族を持ったときも、そして老後生活になっても、お金との付き合い方の原則は同じです。
第一に、収入の範囲内に支出をおさめること。第二に、借金はできる限りしないこと。第三に、この二つの原則を一生守ることです。実は、借金はしないことが原則なのですが、もし借金をするなら極力早期に完済することが前提となります。第一の原則は、非常に大切です。収入の範囲内での生活をしていると、家計は黒字になり、お金が残ります。考え方を少し変えると、収入から天引き貯蓄をし、残りはすべて使い切ってもよいのです。無理のない天引き額にしておくと、2年、5年すると、まとまった額になります。そして、金融資産を持てることになります。

お金の付き合い方の原則

もう一つ大切なことは、まとまった金融資産を持つためには時間が必要だということです。若いうちからお金を貯める、投資に関して経験を積み、上手な投資を身につけるということです。

公的年金と公的な制度の大切さ

今、人生100年時代と言われています。根拠はなんでしょうか?厚生労働省「簡易生命表」によると、女性の4人に1人が95歳まで生存しています。

老後資金は100歳まで考える時代 老後資金は100歳まで考える時代

出所:厚生労働省「2016年簡易生命表の概況」

また、国立社会保障・人口問題研究所の予測では、2050年には、女性の2人に1人が生きている年齢は93歳、4人に1人が98歳、5人に1人が102歳です。やはり100歳まで見据える「人生100年時代」なのです。

私は「5」という数字が好きで、金融資産に関してもヒントを与えてくれます。金融資産5百万円、5千万円、5億円、50億円、500億円・・。

金融資産5百万円は、家計としては最低限持っておきたい金額です。突然の失職、家族の入院などの緊急用ともいえる資産です。次の5千万円は、老後生活を含め、ひと安心できる額です。億円単位になると、ほとんどの方は自分には縁のない金額だと思われるかもしれません。しかし、実はそうでもないのです。現在、公的年金で年200万円受給しているとします。これを金融資産の利息から得ると考えると、利子率が1%なら200万円を0.01で割り戻すので2億円、つまり、金融資産2億円で1%の利子が付いていることと同じになります。現在の預金利息は0%に近いことを考えると、公的年金の力強さを実感できると思います。

長い老後生活においても、収入の口を多く持つということは有効であり重要なものです。公的年金以外に、若いうちから利用できる年金にかかわる公的な制度が求められ、その一つがiDeCoです。

女性にとってのiDeCoの意義

ここで、冒頭の友人の娘さんは、結婚のため離職し、育児のあとに新たな職につく予定とのこと。しかし、厚生年金への加入期間が短く給与水準も低いと、老後に受け取る年金額は少なくなるということになります。老後に公的年金の受給をしっかりと受けたいなら、なるべく長く職につき続けるのが最も有利なわけです。

しかし、思うようにいかないのが人生です。そして、自己努力によって老後生活の安心を得るために、有利な公的な制度としてiDeCoの活用が求められるわけです。また、お金や投資との付き合いは、若いときからはじめるべきです。自転車や自動車が自分の行動範囲を拡げてくれるのと同じように、自分自身の世界を拡げてくれるものです。少々、痛い目にあったりもするかもしれませんが経験を積むことは大切なもので、iDeCoは安心できるエントリーの一つです。長期の積立をしながら、現在の生活にも、掛金の全額が所得控除になるメリットがあります。

資産を増やす

※ 当コラムに掲載されている内容は、2018年12月25日現在のものであり、今後の制度改正等により内容に齟齬が生じることがあります。
※ 当コラムは、執筆者の個人的な見解にもとづいて書かれたものであり、国民年金基金連合会としての見解を示すものではありません。
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CFP®、社会保険労務士 井戸美枝先生
講師
井戸 美枝先生

PROFILE

CFP® 社会保険労務士
講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。前社会保障審議会企業年金個人年金部会委員。国民年金基金連合会理事。日本F P 協会理事。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。

『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP社)『今すぐできる!iDeCoとつみたてN I S A超入門』共著(扶桑社)『オーバー40歳でも大丈夫! おひとりさまでも大丈夫! 私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。

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